イベントは成功──でも、拍手は私たちに届かなかった

社内イベントは無事に終わった。
華やかな舞台、笑顔あふれる社員たちの姿を見て、胸の奥から「やってよかった」と心から思った。
しかし、どんなに盛り上がっても、私たち総務の胸にはぽっかりと穴が空いたままだった。
みんなが成功を喜び、拍手を送る。だが、その歓声は私たちには届かなかったのだ。
社内イベントの華やかさの陰で、汗と涙を流しながら支え続けた日々。
その努力は見えず、感謝の言葉も少なく、報われない思いが胸を締めつけた。
「ありがとう」と言われることも少ないまま、静かにイベントは終わっていった。
それでも誰かのために一生懸命やり遂げた日々が、無駄ではないと自分に言い聞かせていた。
正直なところ、心のどこかで「報われたい」と強く願っていたのだ。
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準備に明け暮れた日々。誰も知らない舞台裏の総務

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私が勤めていた百貨店の社内イベントも、成功の裏には必ず誰かの見えない努力があった。
華やかな場の裏で、総務の者たちは黙々と支え続けていた。
会場手配やスケジュール調整、細かな連絡と準備は決して楽なものではなかった。
夜遅くまで続く仕事に、時に心身ともに疲れ果てたこともある。
けれど、それは誰かがやらねばならぬ仕事だった。
だから、無遅刻無欠勤を貫き、真面目に取り組み、何事もなかったかのように当日を迎えた。
その苦労は決して表に出ることはなく、感謝の言葉もまた少なかった。
しかし誇りを持って務めを全うしたあの日々は、今も胸の奥に深く刻まれている。
誰にも気づかれなくとも、確かに私たちは会社という大きな歯車の一部として動いていたのだ。
華やかな表彰と、取り残された裏方たち

あの社内表彰式の光景は今でも鮮明に思い出せる。
壇上に立ち、笑顔で賞を受け取る同僚たち。スポットライトに照らされ、その輝きは星のようにまばゆかった。
彼らは努力を重ね、成果を手にし、その栄誉を称えられていた。
しかし、私たち総務の心にはぽっかりと穴が空いたままだった。
私たちの苦労はあの華やかな場には映らず、見過ごされているように感じたからだ。
準備に奔走し、トラブルを未然に防ぎ、裏で多くの人を支えたのは私たちだ。
それなのに、そこに表彰も賞賛もなく、報われない思いが胸に湧き上がった。
しかし今振り返れば、私たちがいなければあの華やかな社内イベントも成り立たなかった。
どんなに強い光も、それを支える影がなければ意味はない。
それを知っているからこそ、私は誇りを持ち続ける。
たとえ誰にも見えなくとも、私たちの存在は会社の根幹を支えているのだと。。
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「ありがとう」の一言がなぜか胸に刺さった

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Inauguration, Member Recognition and Generational Award Celebrationhttps://hjcc.org/inauguration-membership-recognition-and-generational-award-celebration/
→ ハワイ日本人商工会議所のイベントで、会長の交代式や会員の表彰が行われた様子を紹介しています。舞台裏での努力とその重要性について触れています。
イベントの後、ひとりの社員から「ありがとう」と言われた。
普通なら心が温かくなるはずの魔法の言葉である。
しかし、その一言が私の胸に鋭く刺さった。
「ありがとう」と言われることが嬉しい反面、どこか悔しくて涙がこぼれそうになったのだ。
裏方としての苦労は、表には出ない。
だから感謝の言葉も薄く、時には軽んじられているように感じてしまう。
その日、初めて自分の存在が「見えないもの」であることに深い孤独を覚えた。
しかし同時に、その「ありがとう」という言葉が私の中で何かを変えた。
それは、報われない日々の中に差し込むかすかな光だった。
たとえ小さな一言でも、誰かの心に響く存在であること。
私はそれを胸に、これからも支え続ける覚悟を新たにしたのだ。
それでも総務は、今日も会社を支えている

長い年月を経て、私にはわかることがある。
華やかな場面の裏側で黙々と支える者たちの存在こそ、会社を動かす真の力であることを。
確かに、報われないと感じることも多い。
感謝の言葉も少なく、誰にも知られずに働く日々は、時に孤独で辛いものだ。
だが、そんな日々の積み重ねなしに何も始まらない。
総務がいなければ、社内イベントも業務も、社員一人ひとりの働く環境も成り立たない。
私は誇りを持って言いたい。
見えないところで働く総務の存在が、会社の根幹を支えているのだと。
そしてこれからも総務は、誰にも気づかれずとも静かに、確かに会社を支えていく。
それが私たちの誇りであり、使命だから。
たとえ報われなくとも、たとえ拍手が届かなくとも、総務は今日もここにいる。
どうか、その存在を忘れないでほしい。
おわりに

年齢を重ねても、無遅刻無欠勤を貫いた年月が教えてくれたのは、真面目さだけでなく、見えない努力の尊さである。
私はこれからも、静かに、しかし確かに歩み続けたいと思う。
それが、私の誇りであり、生きる証だと信じている。
奥村敬太郎
オフィスコーラル代表・総務 /人事/CS歴38年
「働く人を支える言葉を、そっと手渡せるように」
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