「また辞めてしまった…」そんな悩みを抱えている中小企業の社長や人事担当者の皆さまへ。
私もかつて百貨店で総務・人事を長く担当し、同じような悩みと何度も向き合ってきました。でも、その中で気づいたのは、「辞めない職場」には特別な制度や大きな予算よりも、社員一人ひとりの気持ちに寄り添う、ほんの少しの工夫が積み重なっているということでした。
ここでは、定年まで勤めた私の経験から、社員が安心して長く働き続けられる職場を作るためのヒントをお伝えさせていただきます。
社員が辞めない職場には“共通のあたたかさ”がある

辞めない職場は、自然にできるものではありません。そこには必ず、社員が「ここなら続けていける」と感じられる温かい理由があります。
私が勤めていた百貨店では、新人さんが研修で困っていることを毎日丁寧に聞き、「電話の取り方がわかりづらい」「朝礼の意味がわからない」といった小さな声を集めては、次の研修に反映していました。こうした小さな配慮が「自分の声を聞いてもらえている」という安心感を生み、離職をぐっと減らす力になっていました。
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辞めない職場づくりの大切な柱は「対話」と「安心感」

関連サイト:
厚生労働省|働き方改革関連情報
→ 働きやすい職場づくりや労働環境改善の国の公式情報です。
SHRM (Society for Human Resource Management)
→ 人事・従業員関係に関する世界最大規模の専門機関の公式サイト。
新しく入った社員が辞めてしまう大きな原因のひとつは“孤独感”です。不安や緊張の中で働く彼らにとって、周りからの声かけは心の支えになります。
私の職場では、月に一度、業績評価ではなく「最近どう?困っていることある?」と気軽に話せる1on1ミーティングを大切にしていました。
そんな対話は、社員に「自分は見守られている」という安心感を与え、職場への信頼感と愛着を育みます。これが辞めにくい土台となります。
世代や立場の違いを超えて、心をつなぐ

中小企業は20代の若手から60代のベテランまで、多様な世代が共に働いています。そのため価値観の違いで戸惑うことも少なくありません。
私が意識したのは、「仕事の見える化」と「部署を超えた対話の場づくり」でした。
具体的には、誰がどんな仕事をしているか見えるようにして、定期的に違う部署の人たちが集まって話し合う時間を設けました。これにより、それぞれの背景や立場を理解し合いやすくなり、小さなズレや誤解が離職の原因にならずに済みました。
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モチベーションを支える、あたたかい人事の取り組み

関連サイト:
日本の人事部(Nippon HR)
→ 実務に役立つ人事のノウハウや最新トレンドを掲載。
Harvard Business Review|Employee Retention Articles
→ 経営学や組織論の視点から書かれた信頼性の高い記事群。
人は、自分の努力を認められることで頑張ろうという気持ちが生まれてくるのだと思います。
現場では、売上目標を達成したらチームで食事会を開いたり、感謝のカードを渡したりと、ささやかなご褒美を用意していました。
また、私自身も現場に足を運び、直接「いつもありがとう」と声をかけることを欠かさないようにしました。短いひとときでも、顔を合わせて感謝を伝えることは、社員に「ちゃんと見てくれている」と感じてもらえるのです。
「辞めない職場」は特別なことではない

「社員が辞めない職場」は、大企業だけの特別な話と思われがちですが、そんなことはありません。
大切なのは、毎日の小さな気づきと丁寧な対話です。
例えば──
- 毎朝の挨拶を笑顔で丁寧にする
- 月に一度は全員の声を聴く機会を作る
- 頑張っている社員には、その場で感謝の言葉を伝える
こうした些細なことを続けていくことで、自然と「辞めたくない」と思える職場へと変わっていきます。
おわりに

採用してもすぐ辞めてしまう……そんな悩みは、多くの企業が抱えています。
でも、人と人とのつながりを大切にし、一歩ずつ積み重ねていけば、社員が「ここでずっと働きたい」と思えるあたたかな職場は必ずつくれます。
元ビジネスマンとして、そして人事に寄り添う一人として、これからも皆さんの「辞めない職場づくり」を応援しています。
どうか、あなたの会社でも“はじめの一歩”を踏み出してみてくださいね。
奥村敬太郎
オフィスコーラル代表・総務 /人事/CS歴38年
「働く人を支える言葉を、そっと手渡せるように」
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