カテゴリー: Human Resources (人事)

  • ■社員が辞めない職場づくり――38年の経験から伝えたい、あなたの会社にもできる小さな歩み寄り

    ■社員が辞めない職場づくり――38年の経験から伝えたい、あなたの会社にもできる小さな歩み寄り

    「また辞めてしまった…」そんな悩みを抱えている中小企業の社長や人事担当者の皆さまへ。

    私もかつて百貨店で総務・人事を長く担当し、同じような悩みと何度も向き合ってきました。でも、その中で気づいたのは、「辞めない職場」には特別な制度や大きな予算よりも、社員一人ひとりの気持ちに寄り添う、ほんの少しの工夫が積み重なっているということでした。

    ここでは、定年まで勤めた私の経験から、社員が安心して長く働き続けられる職場を作るためのヒントをお伝えさせていただきます。

    社員が辞めない職場には“共通のあたたかさ”がある

    話合う仲間

    辞めない職場は、自然にできるものではありません。そこには必ず、社員が「ここなら続けていける」と感じられる温かい理由があります。

    私が勤めていた百貨店では、新人さんが研修で困っていることを毎日丁寧に聞き、「電話の取り方がわかりづらい」「朝礼の意味がわからない」といった小さな声を集めては、次の研修に反映していました。こうした小さな配慮が「自分の声を聞いてもらえている」という安心感を生み、離職をぐっと減らす力になっていました。

    辞めない職場づくりの大切な柱は「対話」と「安心感」

    話合う仲間

    新しく入った社員が辞めてしまう大きな原因のひとつは“孤独感”です。不安や緊張の中で働く彼らにとって、周りからの声かけは心の支えになります。

    私の職場では、月に一度、業績評価ではなく「最近どう?困っていることある?」と気軽に話せる1on1ミーティングを大切にしていました。

    そんな対話は、社員に「自分は見守られている」という安心感を与え、職場への信頼感と愛着を育みます。これが辞めにくい土台となります。

    世代や立場の違いを超えて、心をつなぐ

    喜びあう仲間

    中小企業は20代の若手から60代のベテランまで、多様な世代が共に働いています。そのため価値観の違いで戸惑うことも少なくありません。

    私が意識したのは、「仕事の見える化」と「部署を超えた対話の場づくり」でした。

    具体的には、誰がどんな仕事をしているか見えるようにして、定期的に違う部署の人たちが集まって話し合う時間を設けました。これにより、それぞれの背景や立場を理解し合いやすくなり、小さなズレや誤解が離職の原因にならずに済みました。

    モチベーションを支える、あたたかい人事の取り組み

    スタッフモチベーション

    人は、自分の努力を認められることで頑張ろうという気持ちが生まれてくるのだと思います。

    現場では、売上目標を達成したらチームで食事会を開いたり、感謝のカードを渡したりと、ささやかなご褒美を用意していました。

    また、私自身も現場に足を運び、直接「いつもありがとう」と声をかけることを欠かさないようにしました。短いひとときでも、顔を合わせて感謝を伝えることは、社員に「ちゃんと見てくれている」と感じてもらえるのです。

    「辞めない職場」は特別なことではない

    モチベーション

    「社員が辞めない職場」は、大企業だけの特別な話と思われがちですが、そんなことはありません。

    大切なのは、毎日の小さな気づきと丁寧な対話です。

    例えば──

    • 毎朝の挨拶を笑顔で丁寧にする
    • 月に一度は全員の声を聴く機会を作る
    • 頑張っている社員には、その場で感謝の言葉を伝える

    こうした些細なことを続けていくことで、自然と「辞めたくない」と思える職場へと変わっていきます。

    おわりに

    Thank You

    採用してもすぐ辞めてしまう……そんな悩みは、多くの企業が抱えています。

    でも、人と人とのつながりを大切にし、一歩ずつ積み重ねていけば、社員が「ここでずっと働きたい」と思えるあたたかな職場は必ずつくれます。

    元ビジネスマンとして、そして人事に寄り添う一人として、これからも皆さんの「辞めない職場づくり」を応援しています。

    どうか、あなたの会社でも“はじめの一歩”を踏み出してみてくださいね。

    奥村敬太郎
    オフィスコーラル代表・総務 /人事/CS歴38年
    「働く人を支える言葉を、そっと手渡せるように」

  • ■人の価値は数字では測れない──38年の現場から伝えたいこと

    ■人の価値は数字では測れない──38年の現場から伝えたいこと

    数字で評価されることが当たり前になった今、
    「この仕事に、意味はあるのだろうか」
    「自分は役に立っているのだろうか」と、ふと立ち止まりたくなることはありませんか?
    私は百貨店で38年間、現場とバックオフィスを経験してきました。
    目に見える成果も、見えない努力も、たくさん見てきました。
    今日は、その中で私が心から信じる「人の価値は数字では測れない」という話を、あなたにお届けしたいのです。

    売上より、あなたの「存在」が価値になる

    先輩スタッフ1

    私は、新卒で百貨店に入り、定年まで働き続けてきました。
    現場では、売上・接客件数・資格・勤怠など、常に“数字”がついてまわります。

    でも正直なところ、そうした評価にずっと悩んでいました。
    どれだけ頑張っても数字に表れなければ「努力してない」と思われる。
    そんなプレッシャーの中で、「自分には何の価値があるんだろう」と落ち込んだ日もあります。

    ところがある日、後輩からこんな言葉をかけてもらいました。
    「いつも笑顔で話しかけてくれて、緊張がほどけました。ありがとうございます」
    たった一言でした。でも、その一言で、私はようやく「自分の存在にも意味があった」と感じられたのです。

    オフィスコーラル
    筆者Web-site

    数字に出ない仕事こそ、誰かを支えている

    支え合うスタッフ

    関連サイト:

    売上に直結する仕事だけが、評価の対象になる。
    そう思っていた私にとって、「数字に表れない努力」は見過ごされがちでした。

    でも、現場にはたくさんあるんです。
    誰にも気づかれないところで補充してくれる備品、見えないところで整えてくれている売り場、困っている新人に寄り添ってくれる先輩。
    それらはすべて、チームの空気を守る大切な“仕事”でした。

    私が人事にいた頃、数字だけを見て評価しようとしたことがあります。
    でも、現場の声に耳を傾けると、どの部署にも「数字に見えない支え役」がいることが分かりました。

    「この人がいるだけで安心する」
    「自分だけじゃないって思えるから、頑張れる」

    そんな“見えない力”が、組織には確かに存在しています。

    「評価」ではなく「影響」に目を向けてみる

    影響

    数字で表せない努力や気づかいは、周囲の人たちに少しずつ“影響”を与えています。
    たとえば、あなたの丁寧な応対が、その日誰かの気持ちを少し楽にしたかもしれない。
    あなたの一言で、誰かが「また頑張ろう」と思えたかもしれない。

    それは、売上や評価には出てこないけれど、確かに人の心を動かす“価値ある影響”です。

    人の働きには、表に見える「成果」だけでなく、目に見えない「影響」があります。
    だからこそ、自分の仕事にすぐに結果が出なくても焦らないでください。
    あなたが誰かに与えている良い影響は、静かに、でも確かに広がっています。

    あなたの“ふつう”が、誰かにとっての希望になる

    誰かの希望になる

    関連サイト:

    日本労働組合総連合会(連合)
    労働者の権利や職場環境の改善に関する情報が充実

    Society for Human Resource Management (SHRM)
    人事管理の最大手団体。多くのリソースと調査が公開されている

    「頑張ってるのに評価されない」
    「自分なんて、いてもいなくても変わらないかもしれない」

    そう感じる日があるのは、自然なことです。
    でも、どうか忘れないでください。

    あなたが毎朝「おはよう」と声をかけたこと。
    緊張した新人に笑いかけたこと。
    疲れている同僚にそっと手を差し伸べたこと。

    それらは、誰かの心を確かに軽くしています。

    あなたにとっての“ふつう”が、
    誰かにとっての“大きな支え”になっていることがあるのです。

    おわりに──焦らず、自分を信じて

    握り合うスタッフ

    評価されない日が続くと、不安になるのも無理はありません。
    でも、「評価されないから無価値」ということは決してありません。

    数字では測れない努力、
    誰にも見られていないように思える気づかい、
    声には出されなくても、感謝されている小さな行動。

    それこそが、職場を、そして人を支えているのです。

    私は38年働いて、ようやくその意味に気づきました。
    だからこそ、今、働いているあなたに伝えたい。

    「人の価値は数字では測れない」

    たとえ誰からも気づかれていないように見えても、
    あなたの仕事には、あなたの存在には、ちゃんと意味があります。

    どうか今日も、自分のペースで、大切に一日を過ごしてください。

    奥村敬太郎

    オフィスコーラル代表・総務 /人事/CS歴38年
    「働く人を支える言葉を、そっと手渡せるように」